社内SEとして働くうえで必要なスキルは、プログラミングだけではありません。
「社内の問題を発見し、改善につなげる力」こそが、最も求められるスキルです。
ここでは、実務で本当に役立つ社内SEの基本スキルを、5つのカテゴリに分けて紹介します。
1. ITインフラの基礎知識
ネットワーク構成を理解する
IPアドレス、サブネットマスク、ゲートウェイの意味を理解しておく
ルータ、スイッチ、アクセスポイントの役割を把握しておく
Ping、Tracertコマンドなどで通信確認できるようにする
📘 ポイント:
LANの構成図を自分で書けるようになると、社内の構成を「見える化」でき、
トラブル対応が圧倒的に早くなります。
サーバー管理の基礎
Windows Server / Linux の基本操作
ファイルサーバ、Active Directory、バックアップの仕組みを理解する
クラウド(OCI, AWS, Azure など)との連携知識もあると強み
💡 実例:
私の会社では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI) 上でファイルサーバとActive Directoryを運用しています。
OCIのバックアップは別セグメント管理されており、ランサムウェア対策にも有効です。
このようにクラウドの特性を理解すると、セキュリティとコストの両立が可能になります。
2. 業務アプリ・クラウド活用スキル
Microsoft 365(Office 365)の理解
Outlook、Excel、Teams、SharePoint、Power Automateなどを連携して使う
特にPower Automate Desktopは、定型業務の自動化に非常に有効
💡 ポイント:
「手作業で繰り返す業務を、自動化できないか?」という視点を持つだけで、
周囲から頼られる社内SEになれます。
クラウドストレージの整理術
OneDriveやGoogle Driveを、部署・プロジェクト単位で構造的に整理
バージョン管理を徹底することで、ファイル紛失トラブルを防止
3. セキュリティ意識と対策スキル
基本的な脅威の理解
フィッシング、マルウェア、ランサムウェアなどの攻撃手法
USBやメール経由での感染経路の理解
社内教育とルール整備
定期的なセキュリティ啓発メール
パスワードポリシー、権限管理、VPN利用ルールの策定
💡 実践のコツ:
「禁止」ではなく「なぜ危険か」を説明できると、社員の理解が進みます。
例:「管理者権限で操作すると、ウイルス感染時の被害が全体に広がる可能性がある」など。
4. コミュニケーションと調整力
相手の理解レベルに合わせた説明
社内SEは「ITの通訳」とも言われます。
難しい言葉を、誰にでもわかる言葉に言い換える力が重要です。
例:ネットワークが遅い = 道路の渋滞(通勤ラッシュ)に例えると分かりやすい
トラブル時の報告スキル
「いつ・どの部署で・どんな現象が・どんな影響を出しているか」を整理
原因がまだ不明でも、現状を正直に報告することが信頼につながります。
💬 例文:
現在、共有サーバにアクセスしづらい状況です。原因調査中で、14時を目安に続報をお知らせします。
5. 自己学習・情報収集スキル
調べる力
エラー文をそのままGoogle検索するだけでも、有力な情報が得られます。
Microsoft Learn、Qiita、Zennなどの技術サイトを日常的にチェック。
ChatGPTなどのAI活用
マニュアル作成、手順書作成、スクリプト生成などにAIを活用
ただし、社内情報を入力しないなど情報管理ルールを徹底すること
💡 ポイント:
AIを「答えを出してもらうツール」ではなく、「考えを整理するツール」として使うと、
自分の理解も深まります。
まとめ:スキルよりも“仕組みづくり”を
社内SEのスキルは、「自分ができるようになること」よりも
「誰でもできるように仕組みを作ること」がゴールです。
トラブルが減る仕組み、情報共有が進む仕組み、教育が回る仕組み──
それらを少しずつ整えることで、あなたは“頼られる社内SE”になります。


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